熟年離婚 -6-
2019年 02月 16日
仲の良い夫婦ほど喧嘩をする、と言われるが本当だと思う。結婚してから
一度も喧嘩したことが無い、と断言される奥さんにも出会ったが、おそらく
その御夫婦は、どちらかが我慢しているか、主従関係にあるか、師弟関係に
あるか、そのどれかだろうと推測する。
人間も動物であるかぎり感情があるので、おもわず我を忘れて、かっとなったり、
泣いたり、笑ったり、いろいろだ。その時、理性を働かせて一呼吸おいてから
行動せよと言われても、なかなか難しい。
しかし、その激しい討論が終了する頃には、鬱積していた感情も、殆ど解消
されてしまうので、元の仲良し夫婦に戻れる。
我が家に関していえば、ゆっくり納得するたちの夫は、私の感情の速さについて
いけず、不機嫌が顔に残ったままだが、すっかり気分の良くなった妻のリードで
いつのまにか笑みが戻ってくるという次第だ。
もちろん、暴力を伴う喧嘩が論外だが、衆人環視の中であろうと、親兄弟が
いようがいまいが、必要な激しい討論はあっても良いと思う。
尊敬していたイタリア人のマリーザさんが、生前、私に教えてくれた数多くの
智恵の一つが、夫婦喧嘩であった。人がいようがいまいが、自分の考えを相手に
伝える。激しい口調になってしまいがちだが、当然相手も燃えてくる。しばらく
舌戦は続くのだが、おなかもすくし、のども渇くのでいつか終わりになる。
私も一度、彼女に戦いを挑んだが、勝敗は忘れたが、その後、彼女の誠意だけが
今も色濃く心に残っている。
私が、日本の社会で一番嫌いな点は、あいまいさである。大人の智恵のように
思っている人もいるが、私には、どうしてもそれが、ずるさとダブってみえて
しまう。じぶんの意見をはっきり述べると、当然反対意見を持った人達から
反感をかうが、そのことから、又新たな考えを知ることが出来て、最終的に
良かったという経験が多々あったので、その利点を活かさないように見える
あいまいさを、どうしても好きになれないのだ。